私の誕生月の5月に夫婦で憧れの「山の上ホテル」に宿泊した。
ブログ内でヴォーリズ建築をいくつも紹介してきたが、ヴォーリズが設計したホテルに
泊まるのははじめて。
ドラマ「名建築で昼食を」のロケ地になった山の上ホテルに宿泊した記録を残しておく。
数多くの文豪に愛された小さなホテルでヴォーリズの意匠を愉しむ
![山の上ホテル・外観](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/05fc7e7eff3d65bbb8becf69991c8a49-571x428.jpg)
![山の上ホテル・珈琲パーラーヒルトップ入口タイル](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/eb6586508c1d7b145bf506270aca43e3-647x428.jpg)
JR御茶ノ水駅から徒歩6分。
神田駿河台の丘の上に建つ山の上ホテルに到着。
レゴブロックで作った要塞のようなジグザグのファザードと塔屋が目を引く。
外壁を覆うのはアイボリーホワイトのタイル。
東京都心にあるのにも関わらず、部屋数はわずか35室。
さらにすべての部屋のレイアウトが違うそうだ。
チェックインは14時から可能と、他のホテルとくらべて早いのが嬉しい。
設計者:ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(ヴォーリズ建築事務所)
竣工年:本館1937年(1980年、2019年改修)
山の上ホテルの歴史
・1937(昭和12)年、九州の石炭王・佐藤慶太郎が設立。西洋の生活様式、マナー等を女性に啓蒙する施設「佐藤新興生活館」として建てられた。
・アールデコ様式でまとめられた山の上ホテルを当時担当した設計者は、ヴォーリズ建築事務所東京支店の所長・松ノ井覚治だと言われている。
・戦後GHQに接収され、陸軍婦人部隊の宿舎として使われていたこともある。1954(昭和29)年に山の上ホテルとして再出発した。
・山の上ホテルが建つ神田・駿河台は、大学、書店、出版社などが集中する文教地区。作家で最初の客は川端康成。三島由紀夫、池波正太郎、山口瞳、田辺聖子など著名な作家・文豪が定宿として利用していたことから「文化人のホテル」と呼ばれるようになった。
![山の上ホテル・入口のタイル](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/cfe61cc67fccaf4f8db4fb6aad196554-571x428.jpg)
創業時のアール・デコ様式の意匠が徐々に薄れていたため、2019年に改修工事を行い竣工当時の姿が復元されたそう。
![山の上ホテル・ロビー全体図](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/f8d82d857850c1811001c871637e5597-576x428.jpg)
![山の上ホテル・ロビーのライティングデスク](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/32ce49ddbd37eeb67db79d70ff6e7c05-571x428.jpg)
![山の上ホテル・ロビーの照明](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/597348e34e59f447e19a983010d318b8-571x428.jpg)
![山の上ホテル・ロビー](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/44f505bdba3aebac9132646dfb13da31-571x428.jpg)
![山の上ホテル・ロビー](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/401eab5fcb85767a89e19ef0bc7d9b49-571x428.jpg)
ロビーはフロントを挟んで左右二箇所。
ロビーのライティングデスクに腰掛けて記念写真を撮った。
ヴォーリズ建築のいい階段
![山の上ホテル・階段を上から覗く](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/29f59873255e4d36430601882dc2787e-571x428.jpg)
![山の上ホテル・階段ステンドグラス](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/889a1d76c65afd0e30c326e4122bc318-571x428.jpg)
![山の上ホテル・階段下から見たステンドグラス](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/c2de7a7f8ea49908e6b62a3e6fe67b4c-647x428.jpg)
螺旋階段を鑑賞するのも楽しみだった。結婚式の参列者やホテルスタッフが常にいたのでシャッターチャンスがなかなか訪れない。
「名建築で昼食を」の千明の言葉を借りると「バランスが絶妙」。これぞ乙女建築。
![山の上ホテル・階段](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/41f89a0092d4704daaec2238aa1626c9-1-576x428.jpg)
![山の上ホテル・タイル](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/397f312fbe99ae93319ce7c21dbbaba3-571x428.jpg)
![山の上ホテル・階段地下](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/2bb20b2806f893422ddfc030669a57fc-322x428.jpg)
![山の上ホテル・タイル](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/c81d58a3d5f3c83756bd2b3222ae2a8e-571x428.jpg)
![山の上ホテル・階数表示](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/d5e02d622e2f6aaacc5de26d4f64e096-588x428.jpg)
目で眺め、手すりに触れ、足を使って登り降りしていい階段を味わった。
宿泊したスタンダードツインの洋室
私が宿泊したのは505号室。
ナチュラルカラーで統一されたシンプルな内装で落ち着いた。
鏡台の上には一輪挿しに飾られた赤いバラ。心遣いが嬉しい。
![山の上ホテル・キー](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/4e5fcaec5be9d9f71a0ba4ac1cdf5803-647x428.jpg)
ライティングデスクの中に用意されていたのは、榛原製のオリジナルレターセット。榛原の便箋は森鴎外や川端康成、永井荷風、向田邦子など多くの文人に愛されていたそう。お土産にしたけどもったいなくて使えない。
![山の上ホテル・アメニティ](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/cc6360102ccebc466650282ded947cc5-571x428.jpg)
バスアメニティはタイのコスメブランド・パンピューリで統一されていた。はじめて嗅ぐラグジュアリーな香りに心が弾む。
ルームサービスで文豪達が愛した朝食を
滞在時間も楽しみだったが、今回利用したのは「文豪達が愛した朝御飯」付きの宿泊プランだったので、翌朝の朝食がメインイベント。
「てんぷらと和食 山の上」「フレンチレストランラヴィ」でも食べられるものの、着替えて出かけるのが面倒なのでルームサービスをお願いした。
ルームサービスを希望する場合は専用の紙を書いてドアノブにかけておけば、希望時間にあわせて持ってきてくれる。
![山の上ホテル・和朝食](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/0c098ee126750cdaed584aa396d4c7e5-647x428.jpg)
和食と洋食を選べるので、夫とふたりでそれぞれ選んだ。
お盆に多くの品数が並ぶ和朝食が誕生するきっかけになったのは「朝食にはいろいろなものを少しずつ食べたい」という池波正太郎の言葉。
![山の上ホテル・アメリカンブレックファースト](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/3a312cdf0a6b2c92cc36bce0983ef7a2-518x428.jpg)
![山の上ホテル・アメリカンブレックファーストオムレツ](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/308f0c7832a40187ec68093785e561f2-571x428.jpg)
洋朝食はアメリカンブレックファーストを選んだ。
卵料理は【プレーンオムレツ・フライエッグ・スクランブルエッグ・ポーチドエッグ・ボイルドエッグ】から選べて、ハム、ベーコンまたはソーセージ添えまで細かくチョイスできる。
3個のモーニングブレッドのために、アラン・ミリアの高級ジャム三種とバターが用意されているのが贅沢。
![山の上ホテル・朝食飲み物](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/5e76603519e7598d8d60e58fbd1a4db1-624x428.jpg)
![山の上ホテル・コーヒーパーラーヒルトップ](https://www.kissa-nostalgia.net/wp-content/uploads/2023/06/0515964b9c22818bbab6f6b6d8dfd144-571x428.jpg)
お腹がいっぱいでなければ、コーヒーパーラーヒルトップにも寄りたかったのだけど今回は断念。次は「伝統のババロア」を食べに足を運びたい。
いつか山口瞳がよく滞在した本館スイートの403号にも泊まってみたいな。
山の上ホテル・施設情報
【最寄駅】神保町駅、御茶ノ水駅、新御茶ノ水駅より徒歩6分
【住所】東京都千代田区神田駿河台1-1
【公式サイト】https://www.yamanoue-hotel.co.jp/
参考文献