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【高松・香川県庁舎東館】丹下健三建築 国指定重要文化財を見学

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高松旅行のメインイベントのひとつは、“世界のタンゲ”と評価される丹下健三の初期代表作「香川県庁舎東館」の見学。

令和4年2月に国の重要文化財「香川県庁舎旧本館及び東館」として文化庁から指定を受けました。

香川県庁舎東館は定期的にガイドツアーを行っていましたが、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より休止中です。

その代わりにモデルコース付きで館内を見学できるパンフレットを配布しているので、パンフレットを参考に自由見学してきました。

モダニズム建築の傑作 香川県庁舎東館

名称:香川県庁舎東館(旧本館)
竣工:昭和33(1958)年5月26日
施工(建物):大林組
構造:鉄筋コンクリート造8階建て
階数:地上8階 塔屋3階
構造設計:坪井善勝研究室
設計:丹下健三計画研究室
令和4年重要文化財指定

香川県庁舎東館・全景高松市の中心部に位置する香川県庁舎。手前が東館の低層棟、奥に東館の高層棟、さらに奥には2000年に竣工した本館がある

 

香川県庁舎東館・南庭より南庭から高層棟を臨む

 

香川県庁舎東館・アップ木造建築をイメージする柱と梁の組み合わせ

 

丹下健三の代表作「香川県庁舎東館」は鉄・コンクリート・ガラスといった新たな素材と技術を全面に押し出したモダニズム(近代)建築。

広く県民に開かれた県政・戦後民主主義を建築で表現。
香川県庁舎東館が戦後の庁舎建築の雛形になったといわれるほど、後世に影響を与えました。

県庁舎の誕生に携わった人々

建築する上でキーパーソンになったのは丹下健三、金子正則知事、猪熊弦一郎(金子知事にとって旧制中学の先輩にあたる)の3人。誕生秘話がうどん県旅ネットで公開されています。

「戦後、民主主義の時代に相応しい県庁舎を建てたい!」という理念をもった香川県知事・金子正則氏。

当事、その理念をどう実現すればいいのか迷っていました。そんな折、出張で上京した時に、猪熊弦一郎に会い、建築家・丹下健三氏を推薦されます。

そして、東京からの帰路、フェリーで2人用キャビンに通され、そこで丹下氏に会います。
お互い面識がなかった2人は「東大の丹下先生ですか?」と尋ねたら、「そうです、金子知事さんですか?」と問いかえされて、大笑い!

この2人の出会いは、広島出張の帰路、大阪にいた丹下氏を電話でつかまえ、至急香川に行って、金子氏に会うように伝えた、猪熊氏の計らいで実現しました。この出会いから「香川県庁舎」の誕生ストーリーが始まりました。

引用:https://www.my-kagawa.jp/feature/higashikan/people

香川県庁舎東館をガイド

建築の最大の特徴はピロティ(吹き抜け空間)

香川県庁舎東館・ピロティ庭園から見る低層棟

 

香川県庁舎東館の最大の特徴は、通りと敷地の境界がなく人々が自由に行き来できる低層棟のピロティ(※)です。

 

香川県庁舎東館・ピロティ
香川県庁舎東館・ピロティ通路との境がなく誰でも入れる

脚長の柱で建物を持ち上げ開放的な空間を作り出すことで、誰でも自由に県庁に入ってくることができます。

金子知事の要望「県民に開かれた空間」を実現化しました。

※ピロティは2階以上の建物の地上階部分を柱などで持ち上げて作った空間のこと

高層棟1階ロビー

香川県庁舎東館・ロビーと南庭全面ガラス張りで開放的。庭園とピロティの一体感が強調されている
香川県庁舎東館・ロビー和猪熊弦一郎による陶板壁画「和敬清寂」の「和」

 

開放スペースとして誰でも入ることができる高層棟1階のロビーエリア。
東側エントランス正面で出迎えてくれるのは、猪熊弦一郎による陶板壁画「和敬清寂」。
茶の湯の精神を借りて金子正則知事が掲げた「民主主義」を表現しています。

正面が「和」、庭に面した「敬」、北側の「清」、西側の「寂」と4面の作品は
太陽と月をモチーフにしているそう。

 

香川県庁舎東館・ロビー階段より

香川県庁舎東館・家具ロビーに並ぶ家具の多くは丹下研究室によるデザイン。
丸い陶器の椅子は剣持勇デザインに見えますが、こちらも丹下研究室によるもの。

 

香川県庁舎東館・ロビー受付受付の後ろにある箱を組み合わせたようなクロークは地元の「桜製作所」が製作。

香川県庁舎に来る前に立ち寄った田村久つ和堂本店にも桜製作所が手掛けた家具が置いてありました。

 

香川県庁舎東館・ロビー展示

ロビーの北側は県庁舎東館に関する資料を展示するギャラリー。建設作業の様子や竣工後の様子、図面、丹下健三が設計した建造物の模型等、貴重な資料が見られます。

県庁ホール前ロビー

香川県庁舎東館・県庁ホール前ロビー
低層館の2階にあるのが県庁ホール。

高層棟1階ロビーとあわせて当時の県庁舎の雰囲気が色濃く残されていますが、今回は見学できませんでした。ロビーには1階ロビーと同じく丹下研究室によるデザインによるクローク棚、家具が残されていました。

 

香川県庁舎東館・県庁ホール前クローク
香川県庁舎東館・県庁ホール前クローク2ブルーと白、赤と白のクロークが3箇所設置されている

センターコアシステムと階段まわり

香川県庁舎東館・エレベーター竣工当時は手動式だったエレベーター。かつてはエレベーターガールがいたそう
香川県庁舎東館・一階階段エレベーター、階段、水回りなど建物に必要な部分が集められている

高層棟1階ロビーの猪熊弦一郎による陶板壁画に囲まれた部分がセンターコアと呼ばれ、建物を支える構造体の役割を担っています。

エレベーターや階段、トイレといった共用設備が建物の中央部に配置されているのですが、語られることの少ないこの部分が一番見応えがありました。

階段の写真をたっぷり載せて、終わりにします。

 

香川県庁舎東館・高層棟の階段エリア1高層棟の階段エリア

 

香川県庁舎東館・高層棟の階段エリア7 香川県庁舎東館・高層棟の階段エリア
香川県庁舎東館・高層棟の階段エリア黄色と赤色の丸い装飾は換気口。赤と黄が階ごとに互い違いに使われている
香川県庁舎東館・高層棟の階段エリアサイン階段の文字サイン

まとめ

2021年、ニューヨークタイムズ紙の企画「戦後建築の最も重要な25の作品」に国内から唯一選出されています。

「丹下健三が設計した最高傑作」と絶賛される県庁東館をぜひご見学ください。

香川県庁舎東館・施設情報

【所在地】香川県高松市番町4丁目1-10
【アクセス】JR高松駅より徒歩約20分、琴電瓦町駅より徒歩約10分
【開庁時間】8時半~17時15分
【定休日】土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
【公式サイト】https://www.pref.kagawa.lg.jp/zaisankeiei/higashikan/kfvn.html

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