今回は「歩いて食べる 京都のおいしい名建築さんぽ」にも掲載されているヴォーリズ唯一のレストラン建築「東華菜館 本店」をご案内します。
ヴォーリズが手がけた唯一のレストラン建築・東華菜館本店
鴨川にかかる四条大橋のたもとにそびえ立つ、デコラティブな東華菜館東華菜館は、1926(大正15)年竣工。
W. M. ヴォーリズが手がけた唯一のレストラン建築です。
もともとは西洋料理店「矢尾政」がビアレストランとして建築した建物でした。
戦後、建物は北京料理店「東華菜館」の手に渡り、修復を重ねながら大切に使われています。
建築家の藤森照信先生によると、建物全体のデザインは大正の末から昭和にかけて流行したスパニッュ・バロック様式だそう。
ファザード上部には羊の顔。魚、野菜など食材をモチーフにしたテラコッタ装飾が施されている
玄関内部には蛸と貝のレリーフ。ディテールデザインは「立体芸術の天才」と称された佐藤久勝氏によるもの
自動扉は人動式。開け閉めは店員さんがしてくれる
東華菜館は鉄筋コンクリート造5階建。
地下は厨房、1階は待合室、2階と3階は個室、4階は宴会場で、5階は予約なしの一般客が利用できます。
お客さんが少なければ予約なしでも入れますが、ランチタイムは予約するのがベター。ドレスコードはありません。
見学のみはできないので、御注意ください。
1階待合室
1階天井
ヴォーリズデザイン。照明付きの衝立
日本最古の運転手付き手動エレベーター

エレベーターの注意書き
アメリカ・オーチス製のエレベーターは運転手による手動式
楽しみにしていた日本最古のエレベーターに乗り、5階の客室へ。
蛇腹式内扉、時計針式のフロアインジケーターを備えた、現存する日本最古のエレベーターです。
何度も乗り降りしたかったんですが、大人なので行きと帰りのみで我慢しました(笑)
東華菜館でディナー
ビアレストラン時代はグリルルームとして使われていた5階に通していただきました。予約なしで行った場合は、5階か大宴会場に通されます。
外にはテラス席があり、夏場のランチタイムに人気なんだとか。
5階の小部屋の床
東華菜館には最安料金1人5000円からのコースメニューか、一品メニューしかありません。
おすすめメニューは春巻き食事後に東華菜館館内を見学
食事後支払いを済ませ、メインイベントの館内見学をお願いしました。
見学のみの利用は不可ですが、東華菜館で食事をした方ならどなたでも館内を見学できます。
4階と5階の間には階段がなく、エレベーターでしか移動できません。
1階脇の階段から見学スタート
天井にはイスラム風の幾何学模様が。同じくヴォーリズ建築の神戸女学院にも似た模様があった

階段だけでも胸焼けするくらい見所があります。

オリエンタルな家具や調度品は、北京料理店になってから中国から取り寄せたそう個室料金はかかりません
2名から18名用の各種個室(6タイプ)は、前日までにコース料理を予約したら、追加料金なしで利用可能です。
東華菜館唯一のステンドグラス付き飾り棚がある個室
小宴会場
4階大宴会場
利用されていない部屋であれば、全部屋見学できます。全部で十数室ある部屋はそれぞれ異なった雰囲気なので、時間をかけて見て回ることをおすすめします。

意匠など細部を味わい尽くした翌日、再度外観を見学に訪れました。
遠方から全景を見たときに、目立つのが屋上の塔。
教会にも見えるこの塔は、エレベーターの昇降機が納められているマシンルームなんだとか。建物の余韻に浸りながら、また来ることを誓いました。
東華菜館 本店・店舗情報
【最寄駅】阪急京都河原町駅1番B出口すぐ、京阪祇園四条駅3番出口すぐ
【住所】京都市下京区四条大橋西詰
【営業時間】11時半〜21時半
【定休日】年中無休
【公式サイト】http://www.tohkasaikan.com/











