全国の喫茶店巡りをはじめて10年。
沖縄、茨城、秋田の喫茶店に行けば、47都道府県の喫茶店を制覇したことになる。
制覇と言ってもただ訪れただけなのだけど、患っていたパニック発作の影響で長年飛行機とバスが怖かったのにも関わらず、少しずつ行動範囲が広くなったことを実感できて嬉しい。
最後を飾るのは行くこと自体がはじめての沖縄が相応しいのだが、梅雨時の6月頃なら旅行費が安いので先にクリアするにした。
ビーチリゾート、ハイビスカス、青い海とは無縁の旅だもの。安く行けるならそれに越したことはない。
ジャズの魅力を伝えるマスターが営む那覇市のローズルームへ
「47都道府県の純喫茶」に掲載されているのは、那覇市の「インシャラー」と「門」の2店。
この2店は近いエリアにあるのでまとめて行くことにして、沖縄に到着する1日目の夕方は21時まで営業しているジャズ喫茶「ローズルーム」を目指す。
ホテルに荷物を預けたあと、那覇市のアーケード街「サンライズなは」の一角にある「ローズルーム」へ。
大雨警報が発表されるほどの土砂降りだったが、店は開いていた。先客はいない。
無数に積まれたCDが目を引くが、1階はジャズ喫茶というよりアンティーク品を集めた喫茶店という印象。最近はSNSの影響で若いお客さんが増えているそう。
「2Fもご利用下さい」の案内を見て、2階へ。狭い階段の壁には全国のジャズ喫茶のマッチが飾られていた。お客さんがお土産代わりにマッチを貰ってきてくれるそう。ペナントや通行手形よりもこの店に相応しいお土産だと思う。
ソファが置かれた2階はジャズ喫茶の雰囲気が濃厚。壁にはレコードとジャズ専門誌が溢れている。「ジャズの記録は何でも集める」のがマスターの信条。創業は沖縄返還の翌年、1973年。
ソファ席ではなく、アルテック(スピーカー)の前の席を陣取り、1時間ほどジャズに身を委ねる。
お会計を済ませたあとマスターに「いい音でジャズが聴きたくて来た」と伝えたら、「若者にジャズの魅力を体感してもらえるのは本望」だと微笑んだ。「伝道師」としての役割がジャズ喫茶にあるのだと感じた。
翌日、再びローズルームへ。私が来るのを待っていてくれたのか、席に座るなり嬉しそうにジャズ喫茶案内本を手渡された。
沖縄旅行からすでに2ヶ月経つが、ローズルームで過ごした時間が忘れられずBGMで流れていたジャコ・パストリアスばかり聴いている。
Rose Room(ローズルーム)・店舗情報
【最寄駅】ゆいレール牧志駅西口より徒歩約10分
【住所】沖縄県那覇市松尾2丁目24-2
【営業時間】11時半〜21時
【定休日】日
はじめてのZINE(同人誌)「喫茶店の人」の通販をSTORESで開始しました。
物販での売上は純喫茶保存協会の活動資金とブログの運営資金に使用します。
サイト存続のため、ご協力をお願いいたします。