京都・北白川の閑静な住宅街。
春には桜、秋には紅葉が連なる白川疎水沿いに「日本のダーウィン」と呼ばれた遺伝学者で、京都帝国大学の教授だった駒井卓博士の住宅があります。
白川疎水沿いのヴォーリズ建築「駒井家住宅」は桜と紅葉の穴場
京都は桜の名所と呼ばれる場所がたくさんありますが、混雑する場所はちょっと……という方におすすめしたい白川疎水沿い。
駒井家住宅は「桜・紅葉と近代建築」を同時に楽しめる絶好の穴場です。
2023年9月現在、予約制で入れますので近代建築がお好きな方はぜひ訪れてみてください。
駒井家住宅の設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズ。
ヴォーリズが円熟期に差し掛かった昭和2年(1927年)に建てられた駒井家住宅は2017年に90年を迎えましたが、現在も建築当初の状態を維持しています。
外観の基調は1927年頃、アメリカで流行していたアメリカン・スパニッュ様式。
駒井家住宅と駒井卓・静江夫妻
駒井博士は1886(明治19)年生まれ。
遺伝の学習で重要な「遺伝子発現」と「遺伝の法則」を日本に持ち込み、遺伝学の最先端を走った動物学者で、オスの三毛猫の遺伝子メカニズムを解明し世に発表したことでも知られています。
駒井博士の妻、静江さんは神戸女学院出身。
後年ヴォーリズ夫人になった一柳満喜子は神戸女学院時代の学友でした。
住宅の設計をヴォーリズ建築事務所に依頼したのは、静江さんとヴォーリズ夫人がクリスチャンとして交流していたからだと考えられています。
1972年に駒井博士、1973年に静江さんが他界するまで、夫妻はこの住宅で暮らしていました。
現在は文化財を保護する団体に寄贈され、期間限定で公開されてます。
駒井家住宅を見学
比叡山を一望できる庭には様々な樹木と草花、そして温室が。
駒井博士がロンドンに行った際に見学した「ダーウィン家の庭」の温室にあやかって、温室を作ったそうです。
玄関のクリスタルのドアノブはヴォーリズの建築の特徴。
裏門に抜ける扉の丸く開いた部分から紅葉が見られる心配り。
冬季休館直前に撮影したので紅葉は終わりかけでしたが、紅葉の季節には真っ赤に色づく姿を見せてくれるでしょう。
室内に入ると、南に面してサンルームがあるので電気を点けていなくても明るい印象。
腰掛け付きの出窓も素敵です。
食堂と居間の間はカーテンで仕切られており、居間と一体して使うことも可能。
曲線が美しい階段を上って2階へ。ステンドグラスはヴォーリズが好んだ色です。
駒井博士の書斎。作り付けの書棚には専門書が並んでいました。書籍を保護するために赤いカーテンが取り付けられています。
かつての寝室(ゲストルーム)。
駒井博士がロッキングチェアに座って読書している様子が浮かぶサンルーム。
元々は普通のベランダだったそう。
大文字山を望むことができ、五山の送り火には住宅にも煤の匂いが届くんだとか。
駒井家住宅は2023年9月現在予約制で公開中
駒井家住宅は2023年9月現在、予約制による公開を行っています。公開は9月1日から12月9日まで。
予約方法は下記リンクをご参照ください。
この機会を逃すと来春まで見られませんので、気になる方はぜひ見学に行ってみてくださいね。
駒井家住宅(駒井卓・静江記念館)・一般公開情報
【住所】京都市左京区北白川伊織町64
【公開期間】毎週金曜日・土曜日
【公開時間】10時〜16時 (入場は15時まで)
【入館料】一般:500円
【公式HP】こちら
※夏季休館(7月第3週から8月末)・冬季休館(12月第3週から2月末)