喫茶店めぐりでいろんな街に行くたびに、「昔はここが人口比別で喫茶店が一番多い街だった」という話を耳にします。
石川県金沢市もそんな街のひとつ。
難波里奈さんの著作「純喫茶へ、1000軒」のあとがきでは、金沢出身の編集者・石黒謙吾さんがかつては金沢のそこかしこに喫茶店があったと綴っていました。
今日は金沢で出会った喫茶店「禁煙室」のご案内です。
金沢市ひがし茶屋街そばの珈琲館 禁煙室
初訪問:2014年9月
喫茶店めぐりがしたくて金沢に来たのに、歩けど歩けどこれといった喫茶店を見つけられなかった4年前の9月。
大本命だった純喫茶ローレンスに振られて、「しょうがない。人気スポットのひがし茶屋街を観光しよう」と歩いていたときに見つけたのが浅野川のほとりにある「珈琲館禁煙室」でした。
カランカランとベルが鳴る扉を開けるとステンドグラスが映える薄暗い内装が現れ、ようやくいい雰囲気の喫茶店を見つけられたと安堵。
一枚板のカウンターに座り、気さくなマスターに話を聞きました。
かつてチェーン店だった珈琲館 禁煙室
珈琲館 禁煙室の創業は昭和55年。
伝票に橋場店と書かれていましたが、もともとはチェーン店だった珈琲館 禁煙室(今はここしか残っていません)。
店名は禁煙室だけど、全席喫煙可能。
チェーン店だった頃は本当に全席禁煙の喫茶店だったんですが、現マスターが「たばこの吸える喫茶店」に方向転換したのだとか。
表にある「たばこの吸える喫茶店」という看板はその際に設置したものです。
私は喫煙しませんが、たばこの匂いは感じませんでした。
マッチ収集が趣味のBlackCoffee1964さんのブログによると、マッチも残っているそうです。
金沢市内に喫茶店が乱立した1970年代後半
金沢市内に喫茶店が最も多かったのは1970年代後半。
コーヒーの消費量の多い土地柄に加え、待ち合わせ場所としての役目や一杯で長時間過ごせる場所としての需要があったため、900店近い個人経営の喫茶店が乱立していたそうです。
ところが90年代に入って爆発的に増えた携帯電話の影響で、喫茶店は激減。
喫茶店がありそうなのにほぼ見つからない奈良駅前と違って、もともとは喫茶店が多かった土地なのに……となんとも残念な気持ちに。
珈琲館 禁煙室のメニュー
珈琲館禁煙室のHPで全メニューのPDFが見られます。
歩き疲れた体を癒してくれたのはホイップクリームの乗ったホットケーキ。
ひがし茶屋街で働く芸妓さんにも愛されるメニューだとマスターに勧められました。
禁煙室の内装を利用した喫茶店が大阪で開店予定
多くの人に惜しまれながら昨年末、金沢市尾張町の喫茶店「珈琲館禁煙室」が約四十年の歴史に幕を閉じた。一杯のコーヒーを味わいながら、客と店主が気取らぬ会話でひとときを楽しんだ昔ながらの喫茶店。「あの店の雰囲気を受け継ぎたい」−。そんな思いを抱いた若夫婦が店の内装や食器を譲り受け、大阪で“第二の禁煙室”を開こうとしている。
北陸中日新聞さんに取材された記事が、本日発行されました🐋
禁煙室のお母さんの想いや、私たちの活動について取材していただいたものです。
また後日、詳しくお知らせさせていただきます。
ぜひご覧くださいませ🌱https://t.co/NXtm1tYaPp https://t.co/TzF1dhXq83— 喫茶 水鯨 (@kissasuigei) February 20, 2021
禁煙室の内装を受け継いだ「喫茶水鯨(すいげい)」を開業予定のご夫婦を訪ねて
2021年2月某日、昨年末に閉業した金沢の喫茶店「禁煙室」の内装を受け継いだ「喫茶水鯨(すいげい)」をオープン予定のご夫妻に会いに、間借り営業中の喫茶店に足を運びました。
穏やかで素敵なご夫妻には既にファンが付いているようで、お二人と話せるカウンター席が人気。
中日新聞の記事を見て足を運んだことを話すと、とても喜んでいただけました。
喫茶水鯨の実店舗は夏頃阿波座で開業予定だそう。
オープンまでまだ時間があるので、待ちきれない方は間借り営業をしている喫茶平凡に足をお運びくださいませ。
私ももう一度足を運ぼうと思っています。
喫茶水鯨(間借り)店舗情報
【最寄駅】JR東淀川駅より徒歩約3分
【住所】大阪府大阪市東淀川区西淡路1丁目17-3 喫茶平凡
【営業時間】7時~18時
【営業日】土曜のみ