このブログ「喫茶のすたるじあ」は2018年3月にスタートして、佐世保の「くにまつ」で記事数400本目を迎えました(消してしまった記事もあるため、現在公開している記事は400本以下です)。
継続できたのは訪問してくれた方々、喫茶店を愛する皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
当初ブログの読者として想定していたのは「喫茶店に興味を持ちはじめた喫茶店ビギナー」ですが、テレビ番組や雑誌などのメディアはもちろんSNSで喫茶店情報が溢れる昨今、今までのような感じでブログを続けてもなぁ……と考えるようになりました。
今年の9月に山之内遼さんのお母様とお会いする機会があり、直接遼さんの話を聞いたことで区切りにできたのかもしれません。
区切りついでに、「わざわざ私が時間とお金をかけて行かなくても」と後回しにしていた関東の喫茶店を巡ってきました。
石神井公園駅のリリーで山之内遼さんの話を聞く
真夜中に深夜高速バスで大阪を発ち、早朝6時半沁みるような寒さの横浜に放り出された。初日の目的地は横浜・大口の「鹿鳴館」と埼玉県秩父市の「パーラーコイズミ」。
せっかくはじめて埼玉県に足を踏み入れるのに移動ばかりになってしまうのは勿体ないけど、「47都道府県の純喫茶」掲載店めぐりが主要目的なのだから仕方ない。
15時半に秩父の「コイズミ」を発ち、宿を取っていた荻窪の「旅館西郊」へ向かう途中、最終日に行こうと思っていた石神井公園駅前の「リリー」が乗っていた西武池袋線にあることに気づいた。
閉店は19時だから間に合いそう。途中下車して「リリー」に寄ることにした。
迎えてくれたのは江守徹を彷彿させる渋い声のマスター、根本さん。日芸で新劇を学び役者を目指していたそう。
Rさん(遼さんのお母さん)に代わって掲載店を巡っていると話すと「山之内さんはうちのトーストサンドが好きで何度も来た」と驚いた様子で教えてくれた。
「難波里奈さんや菊地亜紀子さんの本でも紹介されているけど、山之内さんの本が最初だったよ」と。
残念ながら食べ物のオーダー時間を過ぎていたので、本に載っていた特徴のある形のコーヒーカップでサイフォンコーヒーを飲み、小一時間ほどで店を出た。
再びリリーで念願のサンドイッチを
東京滞在最終日の朝、RさんにLINEでリリーに行ったことを報告する。祖父母の墓参りを済ませてから、3年ぶりに西荻窪の「村田商會」へ。モカ継承のあれやこれやを話してから、「物豆奇」にも寄る。
お腹が満腹なので徒歩で1時間かけ、再びリリーに向かう。帰阪前にサンドイッチを食べたかったのだ。
再びリリーの扉を開きエントランスの階段を降りると、驚いた顔のマスターと目が合う。私が来る5分前にRさんから電話が掛かって来て明日に行くと言われたそう。
「胸が苦しくなりそうだから遼の行った喫茶店には行けない」と言っていたRさん。私が先に行って報告したから行く勇気を持てたと後で教えてくれた。
「私、良いことをしたような気がします。わざわざ大阪から来た甲斐がありました」と得意げに言うとマスターは笑っていた。
遼さんが好きだった「トーストハムエッグサンドイッチ」を食べながら、遼さんの話をする。遼さんが側で見ているような気配がした。
後日談
2023年5月、Rさんとリリーを訪問。
Rさんは遼さんの写真アルバムを持参して、遼さんの思い出話を聞かせてくれた。
本を出版して間もない頃、遼さんはとても疲れていて「俺は日本中で1番忙しい男だ」と言っていたそうだ。
その時に色々話を聞いてあげたら良かったとRさんは今でも悔やんでいる。
サイフォン珈琲リリー・店舗情報
【最寄駅】西武池袋線・石神井公園駅より徒歩5分
【住所】東京都練馬区石神井町3丁目29-5
【営業時間】10時~19時
【定休日】日・祝
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